顧客と従業員の双方が安心できるテナントに。

 

過酷な営業力が求められ、客足が途絶えてしまわないように常にオープンしている状況を保たなければならない、テナントビルに入居しているショップ群。学校や病院、ホテル、旅館などの公共的な建物と同様、不特定多数の人が出入りする場所として、耐震補強工事のことを真剣に考えなければなりません。

ショップオーナーはお客様だけでなく従業員の安全も確保しなければならない、という意識を持っています。それで、ビル全体としての耐震性を考慮してテナントを選ぶなど、利益だけを考えた場所選びではなく、改正された建築基準法に基づいて耐震診断・耐震工事が実施され、命を守れる耐震強度・耐震性能を満たしているかという観点でも物件を選別するようになっています。

 

気になるお客様の目線

とはいえ、すでにオープンしているお店が多数入っているテナントビルでは、耐震診断を実施して耐震設計、工事に進めるということに踏み切れないという現状も存在します。しかしそれも「お客様の目線」を気にしてという。

例えば、工事中は営業をやめなければならない、工事後は耐震補強された影響で店内が使いづらくなるかもしれない、これまで提供していたサービスを継続できるかどうかもわからない…。

耐震補強工事が重要なことは理解しているものの、テナントショップ側としても、確かに何ヶ月もビルを使えないとすれば、その間の営業をどうするのか、そもそも顧客が離れてしまうのではないか、と考えるかもしれません。

ビルオーナーは耐震補強したい、でもショップ側はちょっと待って欲しい、という状況もあり、テナントに入居しているすべてのショップオーナーも必ずしも「耐震補強賛成!」と臨機応変に動けるというわけでもありません。

耐震補強工事を実施しても客足が遠のき、実施しなくても客は離れて行く…。とても厳しい二択を迫られていると言わざるを得ない状況です。

ところが、実際には学校や病院では耐震工事が進んでいて、旅館やホテルなどでも耐震補強工事を実施して付加価値を上げ、営業力を伸ばしているところもあるようです。

そうした公共建物の中でも、特に注目されているのが「居ながら施工」による耐震補強法。建物の利用者、つまり利用客や従業員が引き続き建物を利用しながら、耐震補強工事を行える工法があるのです。「景観を損なうようになって営業に支障が出る」というショップオーナーの抱く心配も解消してくれます。

 

工事しながら営業継続。「居ながら施工」のメリット

利用者の中には、それほど反応していないという方々もいます。例えば、耐震補強工事中の建物を見て、そこから真剣に地震のことを考える方もいれば、「あ、工事してるんだ」程度の気持ちにしかならないという正直な感想を抱く方も。そこに騒音があったり工事独特の臭気があっても「工事だから仕方ない」と受け入れる方もいらっしゃいます。

工事そのものが必ずしも否定的に捉えられるわけではなく、また、その工事の意義を理解していなければ適切に評価されることもない、という現状が見受けられるでしょう。普段通りに入店できて、いつものように買い物ができるのであれば特に大きな問題とは感じない、とおっしゃるお客様も多数、存在します。

「耐震補強工事で建物が利用できない」となれば、「この建物はこれまで補強されていなかったのか」というマイナスイメージも生み出すかもしれませんが、居ながら施工で補強を実施できることによって、通常の修繕や改修工事のように「工事中につきご迷惑をお掛けしますがご理解のほど宜しくお願いいたします」という張り紙で済んでしまう、ということも。

店員側からも、工事のために営業を停止するとなった場合の補償はどうなるのか、という不安が解消されます。営業を停止する必要がないからです。多少の不便はあっても営業が可能である状況を作り出したほうが遥かにメリットがあると考える店員さんもいらっしゃいます。

準生活空間とも言われる病院、学校、宿泊施設などに求められる耐震性能は、テナントビルやショップ店舗にも同様に求められます。しかし、複数のテナントショップが入店しているという背景から耐震補強工事に踏み出せないビルオーナーがいることも事実。もし「居ながら施工」が可能であれば、ショップオーナーは協力しやすいと言えるでしょう。工事にはデメリットよりもメリットが伴うことになります。それは何よりも「利用者の安全」であり、顧客と従業員の命を守ること。

ビルオーナーとショップオーナーの意識の一致を促す「居ながら施工」は、「魅力」であるとともに「必然」と言えます。

 

【Sストア】

Before After

【Sビル】

外観 施工の様子

【商業店舗 耐震補強中の仮設状況】

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